孔雀天使とルシファー、そして悪魔崇拝の烙印

孔雀天使マラク・ターウスの深堀をしましょう。

 

ラク・ターウスは七大天使の一人で、創造の一日目に作られました。が、他の六天使がわかりません…。

通常七大天使というと、おなじみの四大天使ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルに時代によって三人の天使が加わります。

 

イスラム教には七大天使はいませんが、四大天使としてミーカール(ミカエル)、ジブリール(ガブリエル)、イスラーフィール(ラファエル)、アズラーイールアズラエル)があります。

 

どちらにもマラク・ターウスの名前はありません。ここからも、ヤズィーディー教の独自性がうかがえます。

 

さて、神はマラク・ターウスとともにアダムを作ります。アダムには楽園が与えられ…。ここまでは良いのですが、アダムが恩恵を享受するばかりで何もしないことが、神の気に触ったようです。神はマラク・ターウスに、アダムが禁断の実を食べるよう唆すことを許し、その誘惑に抗えなかったアダムは楽園を追放されます。

 

神の許可があるとはいえ、この行動はサタンそのもの。

そのために、マラク・ターウス=サタン=ルシファー という構図が出来上がります。サタンとルシファーを=で結ぶのかは諸説あるかもしれませんが、あえてわかりやすく繋ぎます。

 

また、イスラム教においてサタンは悪魔シャイターンと同一視されます。

シャイターンはイスラム教において唯一、明確に悪とされた存在です。アダムに対しシャイターンは、神の命に背き頭を垂れることを拒否しました。こうして、唯一神に従わなかった悪、となったのです。

なお、シャイターンはイスラム圏における精霊、ジンの頭領とされることもありますが、すべてのジンが悪魔というわけではないようです。

 

このようにイスラム教も交えるとやや強引ですが、

ラク・ターウス=シャイターン=サタン=ルシファー 

となります。

 

この構図だけ見ると、悪魔信仰と言われてもやむなし、です。背後にある神の思惑があったにしろ。

 

なお、漫画『孔雀王』において、主人公の孔雀はルシファーと同一視されています。作者の荻野真氏はクルド人まで出していたのに、全くヤズィーディー教の説明をしませんでした。そのために、私を含む読者は置いてけぼりです。先生は知識が広すぎて説明を省く悪い癖があるのです…。

私は孔雀明王=マハーマユリ のルートしか分からず、なぜいきなりルシファーが出てきたのかさっぱりでした。

 

さて、検索すると英語のサイトですが、マラク・ターウスの絵がありました。こちらではストレートに Peacock Angel とも呼んでます。画像は神々しくもあります。が、これを崇拝していますと言われると祈りと言えばキリスト教イスラム教しか知らない身では違和感があります。日本では違和感で済むでしょうが、海外の唯一神信仰からは邪教・迫害となるのでしょうね。

 

hero.fandom.com

 

 

 

 

 

 

ヤズィーディーYazidi ~孔雀天使マラク・ターウス~

ヤジィーディーはイラク北部に住むクルド人の宗教です。

これは「かつてイラク北部」に書き換わりました。

2014年8月、イスラム過激組織 IS により 「虐殺」されました。

現在はドイツなど欧州で難民生活を強いられているようです。

大変胸の痛む話ではありますが、今は宗教にスポットを当てましょう。

 

ヤズィーディー教徒が崇拝するのは孔雀天使マラク・ターウス。

天使 とあるように、マラク・ターウスは唯一神ではありません。マラク・ターウスを創造した神は存在しているようです。創造神が第一日目に作ったとされるのがマラク・ターウスです。

 

創造の神がいるはずなのですが、調べた限り詳細は分かりませんでした。ただ、造物主ではなく、その使いであるはずの天使と、太陽を信仰するという不思議な宗教です。なお、太陽崇拝は古代のミトラ教の影響があるようです。イスラム教から分かれたとされますが、後述するようなマラク・ターウスの成り立ちゆえに邪教とみなされています。

敵の敵は味方なのか、政治的にはアメリカなどのキリスト教圏に近づいています。

 

ヤズィーディー教徒同士の結婚のみが認められ、その子供だけがヤズィーディー教徒になれる、閉鎖的な宗教です。

 

さて、マラク・ターウスについて。

上記のように、「天使」として「造られた」存在です。であるのですが、創造神を差し置いて信仰の対象になっています。

独自の経典、『ジャルワとルーシュの書』にはそのあたりが書かれているのかも知れませんね。残念ながら私は読んだことがないのですが…。

 

ラク・ターウスはキリスト教におけるサタン、イスラム教におけるシャイターンのような立ち回りをします。

それ故に「邪教」の烙印を押されるのです。

 

参考

 

 

悪魔崇拝 Devil Worship

戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。

 

悪魔崇拝 Devil Worship についての考察です。

なお、英語圏では Satanism が一般的です。デビルやデーモンよりも、唯一神の代わりにサタンを崇める、という意味合いでしょうか。そうとらえると、サタンは神と肩を並べる存在なんですね。えらく出世したものです。

 

さて、悪魔崇拝は、2つに大別できると思います。

1.唯一神以外の存在(e.g.サタン)を崇拝

2.社会良俗に反している宗教

 

1.唯一神以外の存在(e.g.サタン)を崇拝

例えば、サタン教会 でしょうか。

私も冗談かと思ったのですが、これ、実在します。

創始者はアントン・ラ・ヴェイ(1930-1997)。

1966年4月30日、ワルプルギスの夜に設立されました。

場所はカリフォルニア州サンフランシスコ。

英語では The church of Satan 。文字通り、サタン教会です。

深堀したいところではありますが、ここでは名前を挙げるだけにしておきましょう。

 

2.社会良俗に反している宗教

こちらは悪魔崇拝というより、邪教の類でしょうか。

日本では「彼の法」集団(かのほうしゅうだん) が挙げられます。

荼枳尼天(だきにてん)を本尊とし、性的儀式を執り行いました。

Wikipediaをひきますと、「髑髏本尊」などという物騒なパワーワードを見ることができます。

「彼の法」集団 は、真言立川流密教 の名前のほうが有名かもしれません。もっとも、両者は別物なのですが、当時の書籍にて意図してかせずにか混同され、ともに邪教とされました。

 

仏教が生まれたインドの神話にはタントラ、クンダリーニ、シャクティなど性的なエネルギーの概念がありますので、その要素を取り込んだ仏教があります。

 

ともかく、「彼の法」集団 は性的儀式を執り行う教団です。こちらは淫祠邪教の類といえるでしょう。

 

参考

www.churchofsatan.com

ja.wikipedia.org