kitsune―Deus Ex Machina
注:この文章は一個人の感想です。できる限りの正確さを第一に置いたうえで、私がどう思ったかを綴ります。
こんにちは。戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。
機械仕掛けの神、デウス・エクス・マキナ。かっこいいですね。ロボットアニメからライトノベルから、どこに出しても映えるかっこよさです。ラスボスポジションを張れるポテンシャルもあります。さて、これと狐、天狗etc、が”=”とはどういう意味でしょうか。
まずデウスエクスマキナの補足をしましょう。古代機械文明の神とか、アトランティスとかムーとか地底世界のマザーコンピューターとか、高次元や遥か宇宙の彼方の機械生命体であるとかトランスフォーマーとかサイバトロンとか、妄想は膨らみます。ですがこちら、演出技法の用語なのです。混乱した場面に表れて解決・収束へ導く神。Wikipediaでは「超展開」や「どんでん返し」に近いそうです。無理やり物語を収束・終息させる技法と理解しました。あと、夢オチも含まれます。
「狐に化かされたんだ」「天狗のせいじゃ」「キジムナーにからかわれたんだ」これらは不思議体験を強引に解決し、終息させます。
付け加えると、この狐という舞台装置がなければ果てない恐怖に苛まれるかもしれません。とても怖い体験の後、お祖母さんに「そりゃあ狐のせいだぁ」と言われるとホッとするのではないでしょうか。
Wikipediaで恐縮ですがソースはこちら。
今回は「kitsune―Deus Ex Machina―」という出オチです。クスッとしていただければ幸いです。
狼男考 其の二 犬は友達。でも、狼さんはちょっと…。
戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。
犬≠狼。日本の狼は絶滅してしまいましたが、現代でも同一とは見なさないでしょう。もっとも、狼とは何?が分からないので比較できないというのもありますけれど。
昨今の狼男は頭が狼の直立二足歩行。では狼以外の頭なら?
バリエーションの一つがこちらです。
犬頭人 Cynocephaly
カタカナで書くと「シノセファリー」。全然なじみが無いですね。表記のブレはあると思いますが、それを考慮してもGoogle検索にヒットしなかったので驚きました。
日本では牧羊犬、猟犬、と言われてもピンと来ません。他方、狩猟民族において犬と人間は強固に結びつき、共存関係にありました。
そのような犬に関連する種族。「いても不思議ではない」と思われたようです。
先にアウトラインを述べましょう。
僕の関心は「狼男の姿の変遷」「狼≠犬」「狼男は邪悪?」「犬は邪悪ではない?」となっています。
今回は「狼≠犬」の確認です。
キリスト教的に許された「犬頭人」と、許されなかった「狼男」。今後も深堀りしていきますよ。
狼男考 其の一 二足歩行への道程
戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。
今回のネタは狼男です。
もう手垢のついたネタですよね?なので、少しでもユニークな切り口でいきましょう。
切断面は「狼男の姿」です。
きっかけはChatGPTでした。アイコン制作を任せてみようと思い、絵を作りました。使ったキーワードの一つが、「狼男」。
そのとき、二本足で立つ狼男が出力されたのです。
「当たり前でしょ?」それが普通の反応ですよね。しかし、直立二足歩行の狼男の歴史は実は浅い、のではないか?
ギリシャ神話を例にとりましょう。登場人物はリュカオン王、その息子、そしてゼウス。
アルカディアの王リュカオンは自分の息子を殺し、宴の場でゼウスに差し出しました。ゼウスを試したのです。
この行為に激怒したゼウスは、リュカオン王を狼へ変えました。
Lycaon | King of Arcadia, Arcadian Hero, Werewolf Transformation | Britannica
同様にChatGPTへ「リュカオン王の神話から絵を作成してください」とお願いしたところできたのがこちら。

王冠小さくて地味。
それはさておき重要なのは完全に狼の姿であること。確かに「狼男」とは伝えていません。しかし、リュカオンは狼男の祖と言えるような伝説です。なにせ、ライカンスロープ、ライカンスロピィといった用語の由来なのですから。
短いですが、今回は導入、問題提起です。ネタはあるんですよ。吸血鬼≒狼男、とか。説明は少し大変なんですけどね。
日本ではカッコイイ獣上位の狼ですが、西洋文化圏では扱いいろいろ。そんなところ、触れていきたいですね。
中世人口事情
戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。
今回のテーマは「中世都市の規模」です。ベナンダンティの記事あたりで触れたような気がします。都市・集落の規模を鑑みてシャーマン集団が存在できたか、を考察しました。
さて、日本のお江戸は超が付くほどの大都市でした。18世紀初頭で100万人を超えたとか。
対して僕の種本はこちら。
メインは黒死病ですが、当時(14世紀)の人口事情の掲載があったのでそちらを紹介します。というのも、以前「中世都市の人口」を調べた時に探しにくかったんですよ。最も参考になったのは名門大学のゲーム同好会でした。
国単位の資料で都市単位ではありません。ですので単純比較はできませんが、人口の多寡を決めるもの、という意味で紹介します。イングランドの人口は1300年の段階で600万人。12世紀から北半球の気候は温暖化しています。暖かな夏、適度な気温の冬。十分な雨量。これらに支えられ、農作物は不作や飢饉とは無縁な時代が続きました。人口増加を支えるのは1に食糧2に食糧。345は後述。文字通りの台所事情により12世紀から人口は増え続け、13世紀に頂点を迎えます。
トマス・ロバート・マルサス、『人口論』を引くならば、人口は幾何級数的に、食料は算術級数的に増加する。わかりにくい表現ですが、簡単に言えば人間の増加に対して食料供給が追いつかない、ということです。ちなみにこの『人口論』、「戦争、貧困、飢饉の是非」まで論を進めています。戦争による人口抑制が最貧困層の生産を防ぐと。マルサスの罠と言われる人口増加と食料供給のアンバランス、それによる貧困。人道的観点から戦争とそれによる人口抑制を肯定し、結果として悲惨な困窮を防げると説きました。いくらなんでも言いすぎだろうと思いつつ、誰も否定することはできませんでした。克服には倫理観ではなく、窒素、リンといった化学肥料の登場という搦手が必要でした。
話がそれましたが、『産めよ増えよ地に満ちよ』と言われてもただ産むだけでは苦しむだけで支えるものが必要不可欠。食糧だけではなく水、公衆衛生なども欠かせません。これが先ほどの345、かと。歴史上最も早く百万人都市に到達したのはアレクサンドリアだそうです。次いでローマ。ローマは道路、上下水道といったインフラ設備でも有名ですよね。
さて、黒死病を経てイングランドの人口は右肩下がり。今でこそロンドン一つで800万人にもなりますがそれは遠い話。もう一度13世紀の水準に戻ったのは数世紀後のことでした。
今回は中世ヨーロッパの人口について触れました。オカルトに全振りしたいと思いながらも、西洋史は避けて通れないんですよね。更には好奇心から避けるどころかむしろ頭から突っ込んでいます。
研究者でない人間が歴史の数値データに触れる機会は少なく、かつ触れようとしてもなかなかアクセスできない。探し方が悪いのもありますが、そもそも素人が検索上手なわけもなく。ピンポイントの数値を探すと「本を買ってね」か「論文を買ってね」の二択になりがちです。いつどこの人口、意外と貴重な資料なので紹介した次第です。
…、この本の主題、黒死病もやりたいなぁ。黒死病≠ペストとか。最先端の研究は、オカルティック乃至はSFめいてくる一つの証左になるか、という本です。
インプットは得意ですがアウトプットは修行を始めたところ。オチがないのがオチ、となりがちですがご容赦ください。
インプット、インプット、インプット!
戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。
手を広げすぎてにっちもさっちもあっちもこっちもてんやわんやのてんてこ舞い。
西洋史が好きとはいえ、所詮素人。このブログをいい機会としてハードカバーに挑戦すると、読む・考えるだけでお腹いっぱいで、なかなか消化・出力ができませんでした。
本は読んでいます。ライトで読みやすい本ではこちら。
大判ですが、ライトですよ。FF5をリメイクしたらこの中から採用されると良いですね。剣闘士とか闘牛士とかならいけるのでは。魔術師系ジョブの遍歴学生とか、理髮外科医とか。クエスト「鮮魚飛脚を守れ!」とか。
こうやって夢妄想を広げるのは楽しいですが、とにかくヨーロッパは暗い。科学の灯火もなく。迷える子羊を救う教会が一番腐敗していたり。
サバト、魔女なんかを取り上げましたが、他にもキーワードはあれもこれも。僕の頭の中にあるだけでも、「教会の腐敗」「キリスト教」「イスラム教」「プロテスタント」「世俗権力の腐敗」「金」「魔女」「サバト」「テンプル騎士団」「金貸し」「悪魔崇拝」「黒ミサ」「魔術」「魔女狩り」「妖術」「錬金術」「異端」「異端審問」「カタリ派」「ワルドー派」「フランス」「ドイツ」「スペイン」「プラハ」「イスラム勢力「世俗裁判」「共同体」「村落」「迫害」「罪を着せる、着せられる」「辺縁のもの」「ユダヤ人」「ハンセン病」「狼」「吸血鬼」「早すぎる埋葬」etc.
そりゃまとまるはずもない。
単語の羅列だけでもこれだけあります。そのうえで、僕が書きたいのは時代背景など。
ひとまず、「書いてるよ!」というのが今回のオチです。
ではでは。
埴輪!
戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。
上野で埴輪を見てきました。本日が最終日 だそうです。展示物を見ていて気づいたことあれこれ。
1つ目は思ったよりもまじない、宗教の要素が少ないなと。呪術めいた紋様、複雑な様式がほとんどありませんでした。 基本的には死者への埋葬品。簡単に言えばお墓なわけですが、現在の仏教、または中国系統の道教とも異なる死後の国を持っていたのかもしれません。あえて埴輪の魔術的な役割を探すと、表情ではないでしょうか。今回の展示では、守護の最たる存在、盾を持つ埴輪が笑っていました。
どこかで、笑顔の呪術的な側面を見たことがあるんですよね…。思い出せない。思い出したら付け足します。
2つ目は、色について。魔除け=赤、朱色 ははにわの時代からの文化です。しかしこの 朱色、 原料は酸化鉄とのことでした。いわゆる赤錆ですす。水銀ではないのですね。以前記事にもしましたが、日本の伝統的な朱色は水銀から作られました。そのために神社が建てられたほど。神社、神道の時代以前なので技術的な違いなのかもしれません。
死と隣り合わせどころか一緒に埋められた埴輪ですが、全くと言っていいほど死の香りがしません。今とは違う死生観が、そう思わせるのでしょうね。
以上、今日は上野に行きました。楽しかったです。というお話です。
賢者の石はなぜ癒す
戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。
以前水銀を記事にしましたので、錬金術も紹介しましょう。
ネタとしては超メジャーなので、できるだけマニアックを心掛けます。
で、錬金術的要素の中で、どこがマニアックなのかを考えてみました。
錬金術は金を作ることを目的とする。=メジャー。
金を作るには賢者の石が必要、または鍵となる=メジャー。
薔薇十字団、クリスチャン・ローゼンクロイツ、『化学の幸せな結婚』=もう少し錬金術オンリーでマニアックにしたい。
どうして金を作れると考えた?=あ、意外にマイナーかも。
ということで、錬金術において金、さらに万物はどのように解釈されていたか、を今回のネタにします。
種本はこちらなど。
古来、人は金に魅了されてきました。
美しさはもちろんですが、金を王者たらしめた最大の特性は、その変化しない性質です。
孫引きになりますが、上述の種本ではこのように述べています。
『博物誌』の著者の考えは違うようだ。大プリニウスはわざわざ「金がとりわけ高価な理由」という項をたて、見解を述べている。彼によればそれは金の色によるのではなく、輝きのせいでもなく、重さや展性によるのでもない。「そうでなくて金は火の作用にその実質を少しも失わず、大火にあっても、火葬壇で焼かれても何の損失を受けないからなのだ」(中野定雄、他訳) 。彼は加えて、「いまひとつそれの価値のさらに重要な理由は使用による損耗がきわめて少ないことである」(同前) とも述べている。』
人々はこの不朽性をして金を「完璧な金属」と見做していたわけです。
ここで立ち止まってみましょう。金は「完全な金属」です。言い換えれば金以外は「不完全な金属」なわけです。
「不完全」から「完全」を作り出すことができるのでしょうか?
今の考え方ですと、「NO」ではないでしょうか。一般にランダム性って増しますよね。熱力学でいうところのエントロピーの増加、です。
簡単に言うと割れたグラスは元に戻らない。
よって「完全である金属」から「不完全な金属」は産まれても、「不完全な金属」から「完全な金属」は産まれない、と思いませんか?
当時の錬金術には原子の概念がありません。代わりにあるのはプリマ・マテリア。日本語では第一元素と訳されます。
プリマ・マテリアはあらゆる物質の元、原初の物質とされています。原子は「すでに決まっている」のに対して、「可能性の状態」にあります。
「可能性の状態」であるので、そこには金に至る道がある、と考えたのです。
「完全」のニュアンスもやや違いますね。可能性を持つプリマ・マテリアが、目の前に金として存在する。これは、完全を作ることができる、と捉えられました。完全だから作れない、とは逆の発想です。
では、どのようにして錬金術師たちはプリマ・マテリアに働きかけ、金を作り出そうとしたのでしょうか?ここで登場するのが「賢者の石」です。賢者の石は、あらゆる物質を完全な状態、すなわち金に変えることができるとされました。しかし、賢者の石の力は錬金に留まりません。
賢者の石の力は、プリマ・マテリアの可能性を最大限に引き出すこと。そのために物質を完全な状態に変える力を持つと信じられていました。この力の対象は鉱物だけではなく、人体にも適用されると考えられていました。なぜなら人体もプリマ・マテリアの可能性の一つだからです。錬金術師にとって、病とは不完全を意味します。彼らは賢者の石を用いて人体を完全なものにすることで、健康と長寿をもたらすことができると信じました。
「完全」という概念の下では、金と健康な体は同一な存在、ということ。こうして賢者の石は金を作ると同時に、万能薬にもなるのです。
「賢者の石だから何でもできる」では少々物足りないと思いませんか。ということで、賢者の石の薬理学を紐解いてみました。
錬金術は明らかに科学(化学)の母です。しかし、錬金術の延長線上に科学はありません。科学と錬金術をわけるもの、なども記事にしたいところです。


