ベナンダンティ

ベナンダンティ(伊: Benandanti、「善き歩行者」という意味)とは、16世紀から17世紀における、イタリアの北東部フリウーリ地方の農民たちの幻視伝統にかかわった人々のことである。

ベナンダンティ - Wikipedia

 

豊かな実りのために人知れず戦う正義の戦士!のはずでした。また、治療も行う呪医でもあります。

 

しかし。泣く子も黙る異端審問が席巻する中世ヨーロッパ。キリスト教から見れば、人心を惑わす異端そのもの、です。

 

ベナンダンティはいつから存在したのか。実は分かっていません。何故なら、歴史に登場したのは教会により異端の烙印を押されたからで、その後は言わずもがな。

キリスト教と出会わなければ歴史に残ることもなかったかもしれないが、出会ったが故に根絶された。そんな哀れな、おそらくは民間信仰なのでしょう。

 

なお、ゲーム・ファンタジーの世界では、このベナンダンティを狼男としてキャラクター化しているようです。おそらくはウィキペディアの、

最初にベナンダンティの伝統について研究した歴史学者はイタリア人のカルロ・ギンズブルグであり、彼は、1960年代初頭から、現存する裁判記録の調査を始め、ついに『ベナンダンティ 16-17世紀における悪魔崇拝と農耕儀礼』を出版した。ギンズブルグの証拠の解釈では、ベナンダンティは「豊穣の儀式」であり、ベナンダンティのメンバーは「収穫と豊穣の守護者」であった。彼はそのうえ、ベナンダンティはより広い範囲の、リヴォニアの狼男の信仰の様な、キリスト教以前に起源をもつ、ヨーロッパの幻視体験の伝統の中で残っていたものの1つに過ぎないと主張した

ベナンダンティ - Wikipedia

のくだりからでしょうか。

 

狼男は実在する狂犬病や多毛症などの疾患が伝説化したもの、と言われています。

また、「自分は狼になった」という幻視体験が後代に人狼伝説になったケースもあった、はず(すいません、ここはソースが見つかりませんでした。魔女の変身や飛行が当人の幻視体験である、とした説もあったと記憶しています)。

 

それを踏まえて同様のトランス・幻視経験と括り、このような表現になったのでしょう。

 

ベナンダンティの主な活動はネズミや蝶となって魂が体から抜け出し、豊作のために戦うこと。

…、異端審問待ったなし、ですね…。魔女がサバトに行くのと何が違う、となったことでしょう。

 

現代のウィッチクラフト、ウィッカンの初期指導者のマーガレット・マリーの「魔女宗=古代異教残存物」説

Gardner, Gerald B.

キリスト教以前の土着宗教や民間信仰復権も掲げています。「我こそはベナンダンティの継承者」が現れるのも、遠い日のことてはないのかもしれません。