戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。
この記事にはハンセン病患者の方やユダヤ人への迫害について触れています。
陰謀論、追放排斥の歴史は非常にデリケートなものとの認識をしております。
もし私の理解不足により不適切な表現等がありましたら、どうかご容赦願います。
さて、ベナンダンティ研究者のカルロ・ギンズブルグはこのような本も書いています。
全513ページ。で、現在133ページまでのまとめです。
ここまでは迫害された者たち、具体的にはユダヤ人とハンセン病患者達について記しています。
ハンセン病患者の後釜には、「外縁者集団」である乞食や貧民者の隔離、追放。ユダヤ人は継続して排斥。
ハンセン病患者は「フランスからいなくなった」とあります。街によっては4分の3を虐殺したとされるので、文字通り「いなくなった」のかもしれません。
私はこの「外縁者」という表現がいまいちしっくり来なかったのですが、それは幸いにして私がたまたまそのような立場、言い換えれば生まれではなかっただけかと思います。いつの時代も、現代も、外縁者はいるのでしょう。
私はこの言葉を「法の庇護下にない者、特に人権の侵害を受けているもの」と認識しています。
さて14世紀初頭、1300年あたりではユダヤ人とハンセン病患者、そしてグラナダの王(当時のグラナダ、つまりスペインはイスラム教徒の手にありました)、スルタン(イスラムにおける王)が陰謀の中心です。
グラナダ王がユダヤ人に依頼し、実行犯はハンセン病患者、井戸や泉に、毒を撒いていると囁かれました。
もちろん事実無根です。しかしこの噂によりハンセン病患者が逮捕・拷問され、自白を強要される事態になっています。
ユダヤ人の逮捕は、どうだったのでしょう。この後も迫害を受けることを考えると、逆に表立った逮捕拷問、虐殺は少なかったのかもしれません。
フランスではこれらの陰謀が囁かれるプロローグとして、ユダヤ人への罰金という事件がありました。罪状は高利貸しの罪、金額は400万スー。スーはフランスの通貨です。
日本円にするといくらなのか。
だいぶ後代のことになりますが、レ・ミゼラブルにて考察しているサイトさまから引用いたしましょう。
労賃を基準にすると
1フラン=5000円、1スー=250円
食糧を基準にすると
1フラン=2000円、1スー=100円
物(衣類、生活道具)を基準にすると
1フラン= 500円、1スー= 25円
最小の1スー=25円では
400万スー=1億円
最大の1スー=2500円では
400万スー=100億円
となります。
最終的には半額の200万スーまで下げられましたが、それでも大金です。
これはユダヤ人共同体に課せられ、所得や財産の多寡により各人が支払いました。
ユダヤ人共同体は「これを払わなければ危険」との危機意識を抱いていたようです。こうしてお金で解決、を図りました。
しかし結局、陰謀論の槍玉に挙げられることと相成ります。
ここまでがまとめです。
まだサバトや魔女は出てきません。
流れとしては
・迫害される側の存在
・陰謀論
それから
・キリスト教異端派(14世紀後半のワルド派)
そして
・異端派がしているとされた型にはまったサバト的イメージ
となります。
ピンとこないところもありますが、キリスト教内部でも異端であればそれはほぼイコール悪魔崇拝になります。
例えばカタリ派と呼ばれる異端(とされる)の一派がありますが、彼らは猫の姿の悪魔を礼拝するとされました。
私はサバトと魔女のどちらが先に成立したのか、を疑問に思い本書を手に取りました。
どうやら、先にサバトめいたものという教会側の型が出来上がったようですね。