戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。
ヤズィーディー教について、別の資料を見つけたので追記です。
資料はこちら。
フランスからの翻訳本ですね。神保町の収穫物です。
こちらでは「ヤズィーディー」ではなく「イェズィド派」との表記だったので見落としていました。
こちらでは第一声から
エブリスを信奉するイスラム宗団。
と述べております。
いきなり邪教扱いですね…。エブリスとはルシフェルのこと。しかし、ここでは =サタン、ではありません。エブリスは「金星(ウェヌス)ら堕ち、やがて北極星へと逃れた天使」。
もう少し深く話すとイスラム教的グノーシス宗派とか、造物主デミウルゴスたる孔雀天使とか、かなり長くなります…。
私が理解できた範囲で書いていきましょう。
イェズィド派の項目では、エブリス=マラク・ターウスとしていること。そして孔雀なのはエブリスが霊的な顔料を数多く集めたとされるから。
これは初めて見ました。どうして孔雀が選ばれたのか、疑問でしたので。
例えば東洋の孔雀明王、マハーマユリは孔雀がその美しい外見にも関わらず獰猛な毒蛇を喰らうため神聖視されました。
毒蛇関連で神格化したのかと思っていましたので、これは意外でした。
エブリス=マラク・ターウス にすれば創造神がいるにも関わらずなぜ一天使を崇拝しているのか分かるわけですが…。逆にヤズィーディー教を調べていたときには創造神は他にも大天使を創造し七大天使としている、とありました。
どちらが正しいのでしょう?
こうした謎、食い違いは調べものの醍醐味です。
この本ではさらに論を進めて
としています。よきデミウルゴス、は神から赦しを得て地上世界の統治を委ねられた大堕天使、を意味しているようです。
デミウルゴスの説明は…。これもどこかで書きましょう。
ざっくりと言えばデミウルゴスは万能の神ではない造物主、です。万能では無かったのでこの世界には悪がある、ということです。
グノーシス主義ではこのデミウルゴスを悪として、その上位にある万能の神へアクセスしようとします。
つまりこの世界を創ったのは神ではない訳で、まあ、異端視される思想です。
基本的にはデミウルゴスは不完全でありどちらかというと悪寄りの扱いだと私は認識していましたが。よきデミウルゴスなんて考えもあるのだと驚きです。
イスラムからの分派ではないかとは聞いていましたが、どうやら旧約聖書とコーランを同時に信奉している、とあります。
イ旧約聖書もイスラム教も、同じアブラハムの神、ですが…。それを差し置いて太陽崇拝と孔雀天使崇拝なのは不思議です。
教義はどのように折り合いをつけているのでしょう。
今のガザ地区の惨状を見るとイスラム教とユダヤ教の相容れなさを痛感するのですが、ヤズィーディー教はもしかしたら両者をアウフヘーベンした存在なのかもしれないですね。