地蔵菩薩考 その一

戯 幽(たわむれ かそけ)のオカルト覚書です。

 

中学生でしょうか。友人たちはそろそろかめはめ波は出せないことに気づき始め、それでもスタンド使いにはまだなれるかもしれないと希望を捨てなかったあの頃。

 

そんな友人同様スタンド使いに憧れつつ、頭ではスタンド使いも難しいと理解し始め。

 

私はもっと現実的に、他人とは違うものになれる世界を探していました。

 

そこで出会ったのが「孔雀王」無印。こうしてオカルトに偏った私の厨二病がターボスタートしました。

 

 

孔雀王 第1巻

孔雀王 第1巻

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本屋さんで週刊少年ジャンプ密教神道の本を重ねて買う中学生の誕生です。

変人ですね。

孔雀王は月刊なのでこちらは単行本で追いかけました。週刊少年ジャンプは中学生の嗜みです。

 

なお、東洋オカルトというジャンルではで3×3 EYESなどもあったのですが、当時はジャンプにあらずばマンガにあらずの集英社一強時代。お小遣いの都合もあり、あまり多くのマンガを追うことはできない時代でした。まだ漫画喫茶や電子書籍もない頃です。

 

さて、孔雀天使のときも書いたのですが、孔雀王作者の荻野真先生は自分の知識故か、説明不足がしばしばありました。

その説明不足の一つが、今回取り上げます地蔵菩薩です。

 

作中、孔雀誕生について語られる場面があります。父親が孔雀王を蘇らせようと地獄世界を彷徨っていたときに救われた魔族の娘と恋に落ち、ということでした。

さて、この魔族の娘、の正体が、六道を歩き続けたために記憶を失った地蔵菩薩でした。

 

え。お地蔵さん?

 

ずっとその意外さにクエスチョンマークが消えなかったのですが、インターネット全盛なるこのご時世にようやく疑問が解けました。

 

結論から言いますと、地蔵菩薩のルーツはインドの女神でした。

 

この段階でもハテナです。

なぜなら、インドの神(主としてディーヴァ神族)は「天部」として仏教に取り入れられるのが普通だから。

例えばインドラは帝釈天ですし、ブラフマー梵天、シヴァはマハーカーラの姿で大黒天です。ヴィシュヌは…少しマイナーですが那羅延天です。

とまあこのように基本的に最後に「天」と付くのがお約束です。

ですが地蔵菩薩は菩薩。

菩薩とは本来は悟りを求める衆生から修行僧まで全てを含めるはずなのですが、地蔵菩薩虚空蔵菩薩など特に名前が付けられている仏様もいます。

厳密には菩薩なので仏様ではないかとも思いますけども、説明がややこしいところですので割愛します。

 

肝心のお地蔵様のインドでの姿ですが、Wikipediaにて

地蔵菩薩の起源は、インドのバラモン教の神話に登場する大地の女神プリティヴィーで、大地を守護し、財を蓄え、病を治すといった利益信仰があり、これが仏教にも取り入れられ、地蔵菩薩が成立したとされる[信頼性要検証][1]。[誰によって?]経典として「地蔵菩薩本願経」「大乗大集地蔵十輪経」「占察善悪業報経」が地蔵三経と呼ばれるが、「占察善悪業報経」は偽経とも言われる[1]。

 

と紹介されています。

 

「信頼性要検証」など、決定的な資料は不足しているのかもしれません。プリティヴィーのWikipediaを参照しても、仏教にとりいれられた、としか書かれていませんので。

 

では、英語のサイトを紹介しましょう。

例えばこちらですね。

 

www.wisdomlib.org

 

実はこのサイトではプリティヴィー=地蔵菩薩 とはしていません。ですので、私は現在進行形で「これは=なのか?」と悩んでいるのですが。

 

こちらのサイトではプリティヴィーを大地の属性を持つ古い女神としています。

このことは日本語のWikipediaでも書かれています。ただ、大地母神というより大地のエレメントの女神、と属性がやや異なっているようです。

 

土のエレメンタル、としてのプリティヴィーはどこにいるのか。

先ほど、インド由来の仏は天部に配されたとお伝えしました。

天部の中にさらに十二天があり、八つの方角と日月天地を加えたものです。

その十二天内の「地天」がプリティヴィーとされています。

ただ、この時点でもう「地属性」、アースエレメンタルではなくなりました。地天が意味するのは地面の方向、つまり下向きのベクトルであり、大地の属性ではないのです。名前では「地」が残りましたが、プリティヴィーは原型を留めずに仏教に吸収されました。

 

…、書いていながら、逆に「地蔵菩薩=プリティヴィー=地天」の構図に自信がなくなってきました。マニアックな話になるほどWikipediaの記事は信憑性が高くなると私は思っているので、地蔵菩薩はともかくプリティヴィーの記事に根拠なく書き込む人はいないと思うのですけどね。

 

調べるほど、地天はともかく地蔵菩薩と結びつく理由が無いように見えてきます。

 

これは調査続行、です。